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ヒトリグラス

快適な一人暮らしを応援したいと思っております。

第711回 一人暮らしとショートショート。(6)

『認』(続き)情報を見ると次の訪問先であるN社には手土産が必要らしく、ナビには途中で贈答用の菓子類を入手できる店舗と今まで感触の良かった商品がいくつかリスト化されている。 一番近い菓子店に入る。 店内に入るとすぐに、棚に並んだ商品のICタグから情…

第710回 一人暮らしとショートショート。(5)

『認』時刻は午後2時ちょうど。 小さな喫茶店の中、僕はコーヒーの最後のひと口を飲み干してメガネをかけた。 カチッという控えめな通知音と同時に視界の端に文字と数字が浮かんだ。 訪問する会社と担当者、アポを取った時刻と残り時間と移動距離が表示され…

第709回 一人暮らしとショートショート。(4)

「理を修める者」(続き)上出来だ。 さきほどまでの不躾な態度が改められた、うまい具合に症状を進行させることができた。 ボールペンで『敬意』と『知的探求心』の項目に斜線を引く。 かなり症状が悪化していたおかげでやりやすくなった。 ここから説得しよ…

第708回 一人暮らしとショートショート。(3)

「理を修める者」秋も近付き、日差しも落ち着いてきた。 時刻は正午まであと十数分。 私はドアの前に立ち、慣例的な動作で鞄の中の仕事道具が揃っているかどうかを確認する。 いつも通り足りない物は無い。 当然だ。 使う機会がほとんど無いからだ。 おそら…

第707回 一人暮らしとショートショート。(2)

「環」 (続き)N市が設置したこの風力発電機はまさに世界最新のモデルだ。 様々な技術が結び付いた新世代の発電機だ。 新たな素材で作られたボディは強度も高く発電効率も高い。 しかしそれだけでは無い。 本体表面がソーラーパネルで覆われており、発電効率…

第706回 一人暮らしとショートショート。(1)

「環」8月中旬。 天気は晴れ。 時刻は正午を少し回ったところ。 海岸沿いの高架を走る電車は、特別揺れることも無く静かにN市へと向かっている。 車窓から見える海は夏の日差しを静かな車内に投げ込んでくる。 沖にはかなりの台数の風力発電機が一定の間隔を…